東野圭吾『回廊亭殺人事件』

~『回廊亭殺人事件』7つのポイント~

 

『回廊亭殺人事件』は、東野圭吾19作目の作品。

『回廊亭の殺人』という作品の改題です。

半年前に起きた心中事件で恋人を殺され、自らも命を落としかけた女性が、心中事件の真相に迫り、犯人への復讐を図ります。

 

一代で財を成した一ヶ原高顕が死んだ。

妻子を持たない高顕の莫大な財産の相続にあたり、彼の遺言状が一族の前で公開されることになった。

公開場所は旅館”回廊亭”。

一族の他には、菊代という老婆が招待されていた。

だが、菊代の真の目的は、半年前に回廊亭で起きた心中事件の真相を探ることだった・・・。

その夜、第一の殺人が!?

斬新な趣向を凝らした傑作長編推理。

 

さあ、『回廊亭殺人事件』について語りましょう。

 

 

1 あらすじ

半年前に回廊亭で起きた心中事件。

一ヶ原高顕の秘書である桐生枝梨子の恋人・里中二郎の死体が発見され、警察は二郎が枝梨子を道連れに無理心中を図った事件として処理する。

枝梨子はかろうじて一命をとりとめるが、体中に大火傷を負ってしまう。

その後、高顕が亡くなり、莫大な遺産の相続に関する遺言状が一族の前で公開されることとなる。

枝梨子はその場に招待されていた本間菊代という老婆に変装し、回廊亭に乗り込む。

そして復讐相手をあぶりだすために、枝梨子はある罠を仕掛ける。

しかしその罠をきっかけに新たな事件が発生してしまう。

果たして心中事件の真相とは?

枝梨子は犯人に復讐を遂げることができるのだろうか。

 

 

2 登場人物

桐生枝梨子

故・一ヶ原高顕の元秘書。

一ヶ原高顕

故人。一代で財を成した実業家。

一ヶ原蒼介

高顕の弟。大学教授。

一ヶ原健彦

蒼介の息子。

一ヶ原直之

高顕の異母弟で後継者。

藤森曜子

高顕の妹。

藤森加奈江

陽子の娘。

一ヶ原紀代美

高顕の義妹。

一ヶ原由香

紀代美の娘。

小林真穂

回廊亭の女将。

本間重太郎

故人。一ヶ原高顕の恩人。

本間菊代

故・重太郎の妻。

里中二郎

桐生枝梨子の恋人。

古木弁護士

一ヶ原高顕の顧問弁護士。

鯵沢弘美

古木弁護士の助手。

矢崎警部

回廊亭で起きた殺人事件を担当。

 

 

3 桐生枝梨子

容姿に劣る桐生枝梨子は、恋愛には縁が無いものと諦め、知性を磨くことに精進することを決意する。

枝梨子は様々な努力を重ね、上司の評価を得て、高顕の秘書に任命されることになった。

高顕は枝梨子の有能さを買って妻にしようとするが、枝梨子はまだ自分の中に恋愛に対する憧れがあることに気付き、高顕の気持ちを分かっていながら知らないふりをしていた。

そんな時に高顕からの指令を受け出会った二郎に枝梨子は心を奪われる。

そして彼のためなら死んでもいい、彼を奪おうとする者は誰であろうと許しはしないと心に誓う。

心中事件後、枝梨子はその思いを実現させていく。

自分自身を世の中から抹殺し、老婆の振る舞いを身につけ、綿密な計画を立てながら、時期が来るのを淡々と耐え忍びながら待ち続ける。

残りの人生を恋人の復讐にかける枝梨子の執念が物語を構成している。

 

 

4 第一の殺人

この罠に引っかかる人物が半年前の心中事件の犯人である、そう思った枝梨子が仕掛けた罠に1人の人物が引っかかる。

しかしその人物は枝梨子が抱く犯人像とはイメージが違う。

それでも枝梨子はその人物の殺害を決意し、夜中にその人物の部屋に忍び込む。

そして、その人物が何者かに殺されていることを発見する。

残されていたダイイングメッセージを消して枝梨子は自室に戻る。

果たして誰がこの人物を殺害したのか、その人物こそが心中事件の犯人であると確信した枝梨子はさらに推理を進めていく。

 

 

5 本間菊代

本間菊代は、白髪の老婆でかつては茶道をかじっていた。

高顕の恩人である本間重太郎の妻で、重太郎を亡くした後は1人で暮らしていた。

枝梨子とも意気投合し、枝梨子も定期的に菊代を訪れる。

枝梨子は復讐劇のために菊代になりすまし回廊亭に乗り込むことを決意する。

そして見かけ、動作、仕草、話し方など、菊代になりきるべく練習を重ねる。

しかし、醸し出す雰囲気だけはなかなかどうしようもないもの。

枝梨子が変装した菊代に対し、若々しい印象がする、と違和感を抱く者もいる。

また、殺人事件の現場から枝梨子本人の頭髪が見つかってしまう。

あるいは、茶道の話の中で思わぬボロを出してしまう。

菊代の正体が死んだはずの枝梨子であるという事実は果たしてばれてしまうのか、それとも枝梨子は菊代で居続けられるのか、大変気になるところだ。

 

 

 

6 事件の真相

回廊亭で起きた殺人事件の犯人は、やはり残されたダイイングメッセージから導き出すことができた。

そして枝梨子はその人物を呼び出し、対峙する。

枝梨子がその人物から知り得た情報とは一体何であろうか。

枝梨子がとった行動とは・・・?

 

 

7 衝撃のラスト

自分自身が警察に疑われている中、枝梨子はついに心中事件の真相にたどり着く。

その結末はまさに衝撃的。

見事な叙述トリックが炸裂する。

最初はそのトリックが分からずに「???」となったが、読み返してみると、確かにその通り。

完全に騙されてしまった。

 

 

まとめ

『回廊亭殺人事件』7つのポイント

1 桐生枝梨子の復讐劇

2 半年前の心中事件の謎とは?

3 回廊亭で起きた殺人の謎、犯人は?

4 桐生枝梨子の変装はばれないのか

5 二重三重に張り巡らされた伏線とその回収

6 心中事件の真相と衝撃のラスト

7 叙述トリックが炸裂