東野圭吾『悪意』

~『悪意』のポイント7つ~

 

『悪意』は、東野圭吾36作目の作品。

加賀恭一郎シリーズの第4弾です。

加賀の教師時代の先輩・野々口修が登場します。

その野々口も今は教師を辞め、子供向けの作家になっています。

この作品のポイントは「動機」。

犯人はなぜ被害者を殺害するに至ったのでしょうか。

 

人気作家。日高邦彦が仕事場で殺された。
第一発見者は、妻の理恵と被害者の幼なじみである野々口修。
犯行現場に赴いた刑事・加賀恭一郎の推理、逮捕された犯人が決して語らない動機とは。
人はなぜ、人を殺すのか。
超一流のフーダニット&ホワイダニットによってミステリの本質を深く掘り下げた東野文学の最高峰。

 

さあ、『悪意』について語りましょう。

 

 

1 あらすじ

人気作家の日高邦彦が仕事場である自宅で他殺体となって発見された。

発見者は日高の妻・理恵と被害者の友人・野々口修。

加賀恭一郎はこの事件の担当となる。

刑事になる前は教師だった加賀だが、野々口は教師時代の先輩にあたる。

野々口も今は教師を辞め、子供向けの作家となっているが、その野々口がこの事件について手記をまとめていた。

その手記に興味をもった加賀だったが、その内容の矛盾点から、野々口こそがこの事件の真犯人ではないかと目星を付ける。

加賀に問い詰められ自供する野々口。

しかし野々口は犯行は認めるものの、動機については頑なに口を閉ざすのであった。

果たして野々口を日高殺害に駆り立てた動機とは?

 

 

2 登場人物

 

野々口修

 元教師で、加賀の教師時代の先輩。現在は児童文学作家。幼馴染である日高が自宅で殺されているのを発見する。

 

日高邦彦  

 被害者。人気作家で野々口修の友人。

 

日高理恵  

 日高邦彦の妻。野々口と一緒に日高の死体を発見する。

 

藤尾美弥子

 日高と野々口の幼なじみであり、日高の作品「禁猟地」のモデルとなった藤尾正哉の妹。亡くなった正哉の名誉を守るべく、日高に対し度々抗議を行う。

 

日高初美  

 日高の元妻。交通事故により他界。

 

加賀恭一郎

 警視庁捜査一課勤務の刑事。

 

 

3 物語の構成

物語は主に野々口の手記による視点と加賀の視点の2つで構成されている。

この構成に大きなトリックがあり、読者はすっかり騙されてしまう。

この作品の最大の謎は犯行動機。

野々口の手記により犯行に至るまでの経緯が書かれているが、その内容を読んだ加賀はどうも釈然としない。

加賀が野々口の手記のどこに違和感を覚えたのか探りながら読んでいくのも楽しい。

物語の構成は次の通り。

事件の章 野々口修による手記

 疑惑の章 加賀恭一路の記録

 解決の章 野々口修による手記

 追及の章 加賀恭一郎の独白

 告白の章 野々口修による手記

 過去の章その一 加賀恭一郎の記録

 過去の章その二 彼等を知る者たちの話

過去の章その三 加賀恭一郎の回想

 真実の章 加賀恭一郎により解明

お分かりの通り、物語序盤で犯人は明らかになる。

しかしその犯行動機については一向に語らない野々口。

加賀は本当の犯行動機を探るため捜査を続ける。

 

 

4 野々口の視点

日高の殺人事件について野々口は手記を書いている。

その手記の中で野々口は日高の人となりについて述べている。

日高とはとんでもない人間である。

片やなかなか恵まれないながらも真っすぐで純真な野々口。

成功者の裏の顔はひどく冷酷で非道なものだった。

そんな中野々口に芽生える淡い恋。

その相手はこともあろうに日高の妻・初美だった。

野々口と初美はこれまでの日高の振る舞いに我慢ができず、日高殺しを共謀することになる。

野々口が犯行に至ってしまったことに同情してしまう部分もある。

そして殺人を犯した野々口ではなく、被害者である日高に対し世間の冷たい目は向けられるのであった。

野々口の視点はすべて野々口の手記によって描かれているが、その臨場感により野々口に感情移入しやすくなっている。

 

 

5 加賀の視点

野々口が手記によって語った犯行に至るまでの経緯やその方法。

加賀に目をつけられ、早々に犯行を自供する野々口。

その内容に一見不自然なところは見られなかった。

しかし加賀は違和感を覚える。

何よりも、動機については一向に口を割らない野々口。

野々口の供述により、日高の冷酷な人となりがどんどんと浮き彫りになっていく。

加賀は野々口の供述のどこに違和感を覚えたのだろうか。

加賀の捜査にも注目。

 

 

6 加賀が教師を辞めた理由

刑事になる前は教師だった加賀恭一郎。

『眠りの森』でもそのことについては触れられているが、教師を辞めた理由までは詳しく言及されていない。

その謎が「過去の章その三 加賀恭一郎の回想」で明らかになる。

「自分は教師には向いていない」、加賀にそう思わせるだけの重大な出来事が起こっていたのだった。

中学三年生のクラスの担任をしていた加賀。

そこで存在していたいじめ問題。

その解決のために尽力する加賀は、いじめ被害者の生徒に接し、心も体も鍛えてく。

その甲斐あってか、加賀の試みは成功し事態は好転していったが・・・。

思いもよらぬ結末に加賀の心は折れる。

そして、この出来事は、図らずも野々口の殺害動機の謎を解くヒントにもなっていたのだった。

 

 

7 この事件最大の謎「動機」~果たして真相は?

野々口が日高殺害に至った動機。

これこそがこの事件最大の謎である。

嫉妬、愛憎、名誉・・・。

野々口の手記によると、日高によって野々口の気持ちはかなり張り詰めたところまで追い込まれていた。

そのどれもが日高殺害の動機になり得るものであるが、加賀は真実はそこにはないと判断する。

野々口の犯行動機、それはまさに「悪意」という言葉以外では言い表せないだろう。

そして人間の恐ろしさが垣間見える。

 

 

まとめ

『悪意』7つのポイント

1 加賀恭一郎シリーズ第4作目

2 物語の構成は野々口の手記と加賀の視点

3 物語序盤で判明する犯人と決して語られない犯行動機

4 手記で語られる被害者の冷酷さ

5 膨れ上がっていく野々口の日高に対する殺意

6 加賀が教師を辞めた理由

7 果たして野々口が犯行に至った動機とは?

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