~『あすなろ白書』の魅力とは~
『あすなろ白書』。
このドラマにドハマりした方も多いのではないでしょうか。
「俺じゃダメか?」。
木村拓哉演じる取手治のこのセリフに多くの女性がキュンキュンしました。
掛居君派、取手君派、松岡君派に分かれたりしませんでしたか?
藤井フミヤの「True Love」がまた心に響くんですよね。
今改めて観てみるとかなり面白い『あすなろ白書』。
その魅力に迫ります。
1 概要・あらすじ
『あすなろ白書』は1992年から1993年にかけて連載された、柴門ふみ原作の漫画がドラマ化された作品です。
1993年10月11日から12月20日まで、いわゆる「月9枠」で放送されました。
主人公は石田ひかりと筒井道隆。
掛居、取手、星香、松岡は浪人時代の仲間たち。
そこに園田なるみがやってきて、5人で「あすなろ会」を結成する。
なるみは、大学入試のときにシャープペンを貸してくれたのは掛居だと気づき、彼に思いを寄せる。
なるみと掛居はお互いに惹かれ合うが、掛居には彼女がいた。
2人の距離は近づいたり遠ざかったり。
そして取手は一途になるみのことを思い続ける。
また、星香、松岡にもそれぞれの思いがあった。
ケータイがまだ一般に普及していないこの時代。
様々なすれ違いや誤解の連続で、視聴者は毎回毎シーンハラハラドキドキしたものでした。
現代の恋愛ドラマも面白いけど、ケータイの無い時代の恋愛ドラマもヤキモキして面白いなあ。
2 登場人物・キャスト
園田なるみ 石田ひかり
掛居保 筒井道隆
取手治 木村拓哉
東山星香 鈴木杏樹
松岡純一郎 西島秀俊
砂田トキエ 黒沢あすか 掛居と高校時代から付き合っている恋人
町田京子 杉山彩子 掛居の社会人になってからの恋人
園田晴美 森尾由美 なるみの姉
掛居の友人 田辺誠一 掛居の友人
秋庭宗輔 岩城滉一 なるみが勤める出版社の社長
掛居みつ子 加賀まりこ 掛居保の母
3 園田なるみ
この物語の主人公。
「あすなろ会」で出会った掛居保に惹かれる。
自分に正直で感情をストレートに表現する。
子供がそのまま大人になったような女性。
うーん、明るく天真爛漫で、笑顔の素敵ななるみちゃん。
確かにかわいくて魅力的。
だけど、愛情が重すぎないか?
一緒にいて疲れちゃわないか?
それでもピュアでまっすぐななるみに惹かれちゃうんだろうな。
いわゆる「女の子」って感じの女性。
掛居や取手だけでなく、なるみの感情に振り回される人は数多くいる。
様々な誤解やすれ違いで掛居と付き合うも破局。
ずっとなるみのことを思い続けていた取手とも付き合うが、なるみの気持ちが掛居から離れていないことを感じた取手から友達に戻ろうと告げられ破局する。
卒業後社会人になったなるみは出版社に勤める。
一時離れ離れになったあすなろ会のメンバーとも再会するが、掛居への思いをまだ持ち続けていた。
なるみの掛居に対する一途な思いを応援したい気持ちと、時折見せるなるみの態度に対するイライラが毎回毎回同居していた気がするなあ。
果たして、なるみの思いは届くのか。
それも気になるが、なるみと付き合ったら男性はさぞかし苦労するだろうな、そんな思いも捨てきれない。
4 掛居保
アルバイトをして学費を稼ぐ苦学生。
複雑な家庭環境に育ち、せっかくアルバイトで稼いだ学費も母親に使い込まれてしまう。
そのせいで大学を退学してしまった掛居。
明るく天真爛漫ななるみに惹かれ、トキエと別れなるみと付き合うが、なるみとは住んでいる世界が違う、なるみと自分は釣り合わないと思い悩む。
そのうちなるみと距離を置きそのまま破局。
自身は京都大学に入学する。
社会人になり東京に戻ってきてなるみとも再会するが、その時には京子と付き合っていた。
うーん、この掛居保がめちゃくちゃモテる。
なるみをはじめ、多くの人から思いを寄せられる。
優しくて一途で誠実な取手君の方がよっぽどいいのではないかと思うが、どうしてみんな掛居に惹かれるのだろう。
やっぱり、どこか影があり、ミステリアスな男性に惹かれてしまうのだろうか。
自分しかこの女性を守れない、そう思ってトキエや京子と付き合う掛居。
でもそれって自分に正直じゃないし、単なる傲慢だと取手に指摘される。
根は良いヤツなんだろうな。
ただ不器用にしか生きることができないだけ。
そういうところも色々な人に惹かれる理由なのかもしれない。
5 取手治
俳優・木村拓哉を一躍有名にしたこのキャラクター。
とにかくものすごく良いヤツです。
メガネがトレードマークの明るいお調子者。
一目惚れしたなるみに何度もアプローチをかけるが、なるみは掛居が好きなのでその思いは叶わない。
女性に人気のある掛居にコンプレックスを持っていることもあり、なるみを巡って何度も掛居とぶつかり合う。
物語序盤に見せた「俺じゃダメか?」のセリフと、いわゆる「あすなろ抱き」は多くの女性の心を鷲摑みにしたはずだ。
そして多くの男性に「俺もコレやってみたい」と思わせた憧れのシーンである。
クリスマスの夜、なるみは掛居を待ち続けているが、掛居はとある理由からやって来ない。
掛居をただ待ち続けるなるみを陰からこっそり見守る取手。
時計の針が12時を回り日付が変わったそのとき、「残念ながら掛居じゃない。取手だ」と言いながら姿を現す取手。
なるみのためにこっそりバイトをしてなるみが欲しがっていたプレゼントを渡す。
この一途さ!
なるみ、もう取手でいいじゃん!
なるみ、取手がいいじゃん!
みんなそう思ったのではないだろうか。
ここでまた取手君が見せてくれます。
「もうどこにも行くな、ここにいろ」
この破壊力!
絶対取手君が良くないですか?
取手君がやっていることは、他の恋愛ドラマの主人公男性がやっているようなことばかり。
他のドラマの主人公なら、こうやって恋愛を成就させていく。
しかしこの作品において主人公でない取手君は、そんな努力も報われない。
それでも、なるみが掛居のことが好きでも、そして社会人になって自身に彼女ができても、なるみのことを大切に思い続けるこの気持ち。
優しい!一途!誠実!
ライバルである掛居を支えたりする友情深さも、また取手君の魅力なんだよなー。
6 東山星香
外交官を目指している関西出身の女性。
面倒見が良く性格もサバサバしており、あすなろ会のお姉さん的存在。
自分の本当の感情を表に出さず、実は浪人時代から掛居に思いを寄せていたが、なるみに気を遣い自分の気持ちを隠していた。
この星香役で鈴木杏樹も一気に大ブレイク。
なるみを支える優しい姿、あすなろ会全体を見渡せる凛とした姿、掛居に密かに思う切ない姿、そして松岡に対する気持ち。
なるみよりも星香派という男性も少なくなかったんじゃないかな。
でも、何でもできる才女である星香は付き合うにはちょっと敷居が高いのかな。
いつもは誰かを宥めたり励ましたりするバックアップ役の星香が時折見せる感情は、やたら感情を表に出すなるみとの比較もあり、心にズシッと響いてくる。
芯は強いがとても繊細で、清楚だが勝ち気で、美人だが関西弁が可愛らしい。
松岡のことを愛し続ける星香の願い、何としても叶ってほしい。
7 松岡純一郎
松岡財閥の御曹司で、穏やかな性格の平和主義。
なるみからの相談を受けることも多い。
彼の穏やかな性格、爽やかなルックスに心揺さぶられた女性も多かったのではないだろうか。
そして彼の奏でるピアノの演奏。
この音色が『あすなろ白書』を優しい雰囲気に包んでくれる。
一見泰然としている松岡も心の中では強い気持ちを抱いており、そのことが原因でなるみたちの運命を、そして、松岡自身の運命を大きく変える。
うーん、女性なら取手君か松岡君と結ばれた方が幸せになれると思うんだけどな。
やっぱり安定感・安心感のある男性よりも、不安定で不安が離れない掛居のような男性の方に惹かれてしまうのかなあ。
優しくて穏やかで冷静で、物事をきちんと見ることができる松岡君のような男性は頼りになると思うんだけどなあ。
自分のことを理解してくれたから、星香だって松岡に惹かれたんだし。
志半ばでこの世を去ってしまった松岡君、でもあなたの意志はきちんと引き継がれて残っていますよ。
まとめ
『あすなろ白書』の魅力7つ
1 子供がそのまま大人になったようなヒロイン・園田なるみ
2 自分に正直になれない陰のある掛居保
3 優しく一途で誠実な取手君
4 取手君が見せた「俺じゃダメか?」と「あすなろ抱き」
5 星香のまっすぐな思い
6 松岡の奏でる優しいピアノと彼があすなろ会に残した影響
7 なるみと掛居の恋の行方は?