~『眠れる森 A Sleeping Forest』の見どころに迫る~
『眠れる森 A Sleeping Forest』。
中山美穂と木村拓哉を主演に据えたラブサスペンスドラマです。
色々な役を演じてきた木村拓哉が、この作品では謎めいた気味の悪い男を演じています。
仲村トオル、ユースケ・サンタマリア、本上まなみ、陣内孝則など、周囲の役者もまた豪華。
「記憶だけは殺せない」というキャッチコピーも絶妙です。
以下、ネタバレも若干入るかもしれませんが、『眠れる森 A Sleeping Forest』の魅力に迫りましょう。
1 概要
『眠れる森 A Sleeping Forest』は、1998年10月8日から12月24日まで、毎週木曜日の22:00~フジテレビで放送されたドラマ。
キャッチコピーは「記憶だけは殺せない」。
このキャッチコピー、物語の核心を上手く突いています。
主演は中山美穂と木村拓哉。
内容はサスペンスミステリー。
これだけで視聴者の期待を十分に煽る効果がありますよね。
そして蓋を開けてみたら、期待以上の面白さ。
色々なところに謎が散りばめられており、実那子のフラッシュバックにより真実が少しずつ見えてきて、そして実那子に襲い掛かる様々な恐怖。
ミステリアスで気味の悪い伊藤直季は果たして敵か味方か。
直季が実那子に執拗に付き纏う目的は何か。
毎週毎週明らかになる真実と、却って深くなっていく謎の数々。
野沢尚さんの脚本が秀逸でお見事です。
2 あらすじ
15年前のクリスマスイブに起こった市議会議員一家惨殺事件。
次女だけは奇蹟的に無傷で助かる。
警察は、長女と交際しており事件の第一発見者であった当時大学生の国府を逮捕する。
3カ月後に恋人・輝一郎との結婚を控えた実那子。
彼女は小学生の時に交通事故で家族を失った過去を持つが、彼女は事故のショックからか当時の記憶を失っていた。
ある日、実那子は古い段ボール箱から少女時代にもらったラブレターを見つける。
そこには「15年後の今日、眠れる森で会いましょう」という謎のメッセージが記されていた。
過去に導かれるように約束の森に向かう実那子。
そこで彼女が会ったのは、「実那子は俺の一部」だと言い張る謎の男・直季だった。
実那子の過去から現在までのすべてを知っている直季は、以後執拗に実那子に付き纏う。
その頃、模範囚だった国府が仮出所するが、「あいつに相応しい地獄を考えている」と言い残し行方をくらます。
それから、実那子の周りでは不可解な事件が続発する。
実那子が失った記憶の中に事件の真相が隠されている。
登場人物がみんな怪しく、謎が謎を呼ぶ屈指の名作です。
3 登場人物・キャスト
大庭実那子 中山美穂
伊藤直季 木村拓哉
濱崎輝一郎 仲村トオル
中嶋敬太 ユースケ・サンタマリア
佐久間由理 本上まなみ
国府吉春 陣内孝則
玉置春絵 横山めぐみ
濱崎麻紀子 原田美枝子
濱崎正輝 岡田真澄
伊藤直巳 夏八木勲
4 実那子に迫る恐怖の連続
直季が実那子に接触したころ、国府も仮出所する。
輝一郎との結婚を3カ月後のクリスマスイブに控え、幸せ絶頂なはずの実那子に不可解な出来事が起こり続ける。
蘭専門の植物園で働く実那子はある日注文を受けて大量の蘭を発送するが、先方は発注した覚えはないと言う。
疲れて家に帰ると実那子の部屋を火元とするボヤ騒ぎが発生していた。
玄関の郵便受けに発火装置が投げ込まれたらしい。
実那子は自分だけ一足先に輝一郎との新居となるマンションに引っ越すことにするが、引っ越し当日にマンションに実那子と輝一郎を誹謗中傷するビラがばらまかれていた。
これら一連の騒動は直季の仕業であると確信する実那子。
実那子は直季を問い詰めるが、直季の答えは異常としか思えないものだった。
そして実那子のマンションの向かいのアパートに直季が引っ越してくる。
直季のことを輝一郎に言い出せない実那子。
その時、輝一郎に関する中傷記事が週刊誌に掲載されそうになり、会社上層部に呼び出された輝一郎は、海外僻地の転勤すらほのめかされる。
ある日、注文を受けた蘭を届けに行った実那子はそこでも直季に遭遇する。
そこで出会った直季の幼馴染・敬太を見た実那子は、啓太のことを思い出す。
自分が通った小学校について調べれば何か思い出せるかもしれないと思った実那子は記憶にある群馬の小学校に連絡しようとするが、そんな小学校は存在しないことが分かる。
そして、自分の本籍地は群馬ではなく福島で、群馬にはほんのわずかしか住んでいなかったことが判明する。
一体自分の過去にどんな秘密があるのか苦悩する実那子。
フラッシュバックを繰り返し、実那子は少しずつ記憶の断片を取り戻していくのだった。
直季が自分の過去の秘密を知っていると感じた実那子は直季を訪れるが、自分と直季にあまりにも共通点が多いことに気が付く。
果たして実那子の過去の秘密とは?
直季と実那子の間に隠された謎とは?
5 誰もが怪しい人ばかり
この物語に登場する人物はみな怪しい人ばかり。
まずは実那子に執拗に付き纏う直季。
彼が実那子に接近した目的とは何か。
叩けば埃が出てくるような実那子の恋人・輝一郎。
失踪した母親に対するトラウマがある。
直季の幼馴染で多額の借金を抱える敬太。
由理に思いを寄せる彼は直季に内緒で輝一郎にも接近する。
実那子の存在により直季から別れを切り出された由理。
それでも何とか直季にしがみつこうとする。
実那子の過去に何かしら関係がありそうな直季の父・直巳。
彼は実那子と一体どのような関わりがあるのか。
刑務所から仮出所をしたが行方をくらませた国府。
国府の目的、狙いは何か、そして国府のターゲットは誰なのか。
そして、実那子自身も、過去の記憶を失っているため、怪しいところが無いわけではない。
どの人物も怪しさ満点。
一体事件の真相のカギを握る人物は誰なのか。
事件の真犯人は誰なのか。
実那子の過去にはどんな謎が隠されているのだろうか。
6 事件の真相
少しずつ明らかになっていく真相。
直季が実那子に付き纏い続け接近した目的もはっきりする。
直季と直巳が見せるやり取りはハラハラもの。
敬太が見せる微妙な表情が怪しさや恐怖を掻き立てる。
実那子と輝一郎の結婚式が刻一刻と近づいている。
その日こそ、事件関係者にとって運命の日なのだ。
物語終盤、主要登場人物の1人が殺される。
その人物を殺害したサンタクロースの正体とは?
ネタバレになるのでこれ以上は話せません。
7 大胆なネタバレ
サスペンスミステリーであるこの作品。
当然ネタバレはご法度である。
しかし、この作品はまさに大胆にネタバレをしているのだった。
しかも第2話からガッツリと。
この話は結構有名な話なので知っている人もいるかもしれない。
ヒントは色、そして動作。
事件の謎の伏線になっており、真相も隠されており、それぞれの将来を暗示している。
それを知りながら、もう1度ドラマを観直してみることも面白いかもしれない。