東野圭吾『鳥人計画』

~『鳥人計画』7つのポイント~

 

『鳥人計画』は、東野圭吾11作目の作品。

スキージャンプを題材とした作品で、天才ジャンパーが殺された謎に迫ります。

しかし物語の早いうちから犯人が判明。

そのきっかけは犯人と警察に送られた密告状。

警察は犯人が事件を起こした動機と方法を、犯人は密告状を送った人物が誰かを追及します。

 

「鳥人」として名を馳せ、日本ジャンプ界を担うエース・楡井が毒殺された。

捜査が難航する中、警察に届いた一通の手紙。

それは楡井のコーチ・峰岸が犯人であることを告げる「密告状」だった。

警察に逮捕された峰岸は、留置場の中で推理する。

「計画は完璧だった。

警察は完全に欺いたつもりだったのに。

俺を密告したのは誰なんだ?」

警察の捜査と峰岸の推理が進むうちに、恐るべき「計画」の存在が浮かび上がる・・・。

精緻極まる伏線、二転三転する物語。

犯人が「密告者=探偵」を推理する、東野ミステリの傑作。

 

さあ、『鳥人計画』について語りましょう。

 

 

1 あらすじ

和製ニッカネンの異名を持つ天才ジャンパー・楡井明が毒殺された。

日本ジャンプ界の宝が毒殺された事件の捜査は難航する。

事件の犯人は楡井のコーチ・峰岸。

容疑者からは最も遠い位置におり、また峰岸自身もトリックには絶対の自信を持っていた。

しかし峰岸の元に届く一通の手紙。

そこには『楡井明を殺したのはあなただ 自首しなさい』と書かれていた。

誰が何故どのようにして峰岸の計画を知ったのか。

そして警察にも、楡井を殺したのは峰岸であると密告状が届く。

峰岸が施した、楡井殺害のトリックとは?

何故峰岸は楡井を殺害したのか。

密告状を送った人物の正体とは?

 

 

2 登場人物

峰岸貞男

原工業所属のスキージャンプのコーチ。自身もかつてはジャンプの選手だった。

楡井を殺害する。

楡井明

和製ニッカネンの異名を持つ天才スキージャンパー。

杉江夕子

楡井明の恋人。

三好靖之

全日本チームの総監督。

杉江泰介

日星自動車スキー部監督。杉江夕子、杉江翔の父。

杉江翔

日星自動車スキー部に所属する選手。

片岡正明

日星自動車スキー部のトレーナー。

沢村亮太

氷室興産スキー部のジャンパー。

日野幸博

氷室興産スキー部のジャンパー。

有吉幸広

北東大学助教授。

ジャンプのメカニズムを研究し氷室興産スキー部に協力している。

深町和雄

日星自動車に勤務する元ジャンパー。

島野悟郎

故人。日星自動車スキー部に所属していた。

佐久間公一

札幌西警察署刑事課捜査一係刑事。

須川

北海道警察捜査一課刑事。佐久間とペアを組む。

 

 

3 楡井明

生きている楡井が登場するのは冒頭のわずかの部分でしかない。

しかしこの作品で最も存在感を出しているのは他の誰よりもこの楡井だった。

天真爛漫で陽気すぎるくらい陽気。

独特の感性を持ち、周囲の人は楡井が何をしたくて何を言いたいのか分からないこともしばしば。

しかしジャンプの才能は他の誰も寄せ付けない。

他の選手が緊張して萎縮する中、楡井だけはいつもと変わらずリラックス。

多くのジャンパーからのプレッシャーにも全く動じない。

圧倒的な才能の前では努力は太刀打ちできない、そう思わせるのに十分な才能の持ち主で、事実数々の好成績を積み重ねる。

コーチである峰岸は何故楡井を殺害したのか。

そこが大きな謎の1つである。

 

 

4 峰岸貞男

早い段階から峰岸は楡井の殺害を決意していた。

物語中盤前に峰岸が犯人であることが明らかになるが、大きな謎が3つある。

1つは、何故峰岸は楡井を殺害したのか。

1つは、どのように峰岸は楡井を殺害したのか。

そしてもう1つは、一体誰がいつどのようにして峰岸の犯行を知ったのか。

峰岸は自身の犯行に絶対的な自信を持っていた。

一体どこで破綻してしまったのか、留置場の中で峰岸は懸命に考える。

かつてスキージャンプの選手だった峰岸が楡井に抱いていた感情とは。

楡井殺害の裏には、恐るべき計画があった。

 

 

5 日星自動車の謎

楡井の圧倒的な成績により、他の日本人選手は目立った成績を残すことができていない。

そのような中、日星自動車のジャンパー・杉江翔だけは着実に、そして大幅に成績をアップさせていた。

しかしその表情は冴えず、そして不自然なほど肉体も変化していた。

日星自動車の監督は、自身もかつてはジャンプの選手で優秀な成績を収めた杉江泰介。

杉江翔の成績アップの裏に隠された秘密とは?

そしてそのことは楡井の殺害と何か関係があるのだろうか。

 

 

6 密告者の正体

峰岸の元に届いた、峰岸が楡井殺害の犯人であることを指摘し自首を勧める手紙。

そして警察に届いた、峰岸が楡井殺害の犯人であることを綴った告発文。

この2つの文書の登場で、事件は急展開する。

警察に逮捕された後も、峰岸は殺害動機や殺害方法については全く口を割らない。

警察は地道に捜査を続け、事件の謎に迫っていく。

一体誰がどのように峰岸の犯行を知り、勧告文や告発文を書いたのか。

犯人、そして警察が、探偵役を捜すという新しく面白い試みである。

 

 

7 事件の真相

物語は峰岸と警察の捜査を主な視点として書かれている。

峰岸は、自身の犯行のどこに穴があり、それを暴き告発したのは誰かということを推理する。

警察は峰岸が楡井を殺害した動機と方法を捜査する。

そして、日星自動車がひた隠しにする秘密とは一体何か、そこも事件解決にとって重要な要素であり読者の興味を引く。

スキージャンプのメカニズムの説明などに多くの量が割かれているため、読者によっては流し読みしてしまうかもしれない。

しかしその部分さえ我慢できれば、物語としては多くの謎解き要素を持ち、真相に迫るべく読み進めていくことができる。

終盤、少し期待外れ、拍子抜けの感が出る部分もあるが、本当に大切なのはその先の展開。

事件の裏に隠された恐るべき謎と、人間が人間たるための哀しい真相が明らかになる。

物語は意外で驚愕の結末を迎えるので、最後まで目を離してはいけない。

 

 

まとめ

『鳥人計画』7つのポイント

1 スキージャンプを題材にした作品

2 楡井明という強烈な個性

3 峰岸が楡井を殺害した動機は?

4 峰岸が楡井を殺害した方法は?

5 峰岸が犯人であると告発したのは誰?

6 日星自動車が持つ謎とは?

7 事件の真相、驚愕の結末

コメントを残す