東野圭吾『同級生』

~『同級生』7つのポイント~

 

『同級生』は、東野圭吾23作目の作品。

久々の学園モノで、高校を舞台にしています。

何となく薄暗い雰囲気だなあ、と思って読み進めた作品です。

 

修文館高校三年の宮前由希子が交通事故死した。

彼女は同級生・西原壮一の子を身ごもっていた。

それを知った壮一は自分が父親だと周囲に告白し、疑問が残る事故の真相を探る。

事故当時、現場にいた女教師が浮上するが、彼女は教室で絞殺されてしまう。

著者のターニングポイントとなった傑作青春ミステリー。

 

さあ、『同級生』について語りましょう。

 

 

1 あらすじ

修文館高校野球部マネージャーの宮前由希子が交通事故死する。

由紀子は妊娠していたのだが、その相手は野球部キャプテンの西原壮一。

ある日、あることで自棄になっていた壮一は、前から壮一に好意を持っていた由希子と一夜を共にすることになったのだった。

しかし当の壮一は、この事故があるまで由希子の妊娠を知らなかった。

由紀子の妊娠が今回の事故に関係していると責任を感じた壮一は、事故の直接の原因を探ることにする。

そこで、修文館高校の女教師・御崎が事故当時の現場にいたことが判明する。

だが学校側は頑としてそのことを認めない。

壮一は何とか御崎を問い詰め、追い詰め、責任を追及しようとするが、やがて御崎の死体が教室から発見される。

周囲から御崎殺害の犯人と疑いの目を持たれた壮一は独自に捜査を進める。

そして、また新たに別の事件が発生する。

 

 

2 登場人物

西原壮一

主人公。修文館高校3年生。野球部主将。由紀子の事故死と御崎の死の真相を独自に追う。

宮前由希子

修文館高校3年生。野球部マネージャー。産婦人科近くで交通事故死する。

楢崎薫

修文館高校3年生。野球部マネージャー。

河合一正

修文館高校3年生。野球部のエースピッチャー。

水村緋絽子

修文館高校3年生。天文部部長。東西電機専務の娘。

篠田進

修文館高校3年生。素行不良が問題化した。

灰藤

修文館高校教師。生徒指導部。天文部顧問。

御崎藤江

修文館高校教師。生徒指導部。陸上部顧問。

西原春美

壮一の妹。生まれつき心臓疾患がある。

溝口

修文館高校で起きた事件の担当刑事。

 

 

3 第一の事件

宮前由希子が交通事故死したが、その背景には不自然な点があった。

事故現場が産婦人科近くであったこと、由紀子は自らは知っているトラックの前に飛び出していったこと、そして事故現場にはもう1人別の女性がいたこと。

壮一は独自に捜査を行い、現場近くにいたのが修文館高校教師・御崎であることを突き止める。

そして、由希子は御崎に追われ、それから逃げるためにトラックの前に飛び出したのではないかと推理する。

学校側は頑なにその事実を認めようとしないが、壮一たちは御崎を問い詰める。

それに対し、御崎は壮一たちに嫌がらせを行い圧力をかけていく。

 

 

4 第二の事件

壮一と御崎の対立が激化していく中、御崎の死体が教室で発見される。

薫を中心とした生徒たちは御崎の授業をボイコットするなど犯行を示していたが、御崎はそれに取り合う様子はない。

むしろ灰藤を中心として野球部の地区予選出場辞退を目論んでいる様子。

そのような状況の中起こった御崎殺害事件。

周囲は壮一に犯人の疑惑の目を向ける。

御崎が殺された凶器は体操用のリボンであると思われたが、どうやらそうではないらしい。

壮一が手首に巻いていたテーピング・テープが絞殺痕とぴたり一致したのだった。

それは恐らく壮一を犯人に仕立て上げるため。

一体御崎を殺害したのは誰なのか、謎が謎を呼ぶ。

 

 

5 第三の事件

御崎の通夜が執り行われた数日後、野球部の仲間とカラオケに行った壮一。

家に帰ってくると溝口が待っていた。

つい先ほど学校の教室でガス漏れがあり、水村緋絽子が気を失っていることが発見されたとのこと。

緋絽子は壮一に、由希子の妊娠の情報を教えたり、何かと接触してくる人物。

緋絽子の事件は果して自殺なのか、他殺なのか。

自殺だとしたらその動機は、他殺だとしたら一体誰が?

緋絽子の事件が発生したことで警察の捜査も混乱していく。

そして壮一の靴箱から見つかった一通の手紙。

そこには「御崎殺しの犯人を教える」と書かれてあった。

 

 

6 西原壮一

この主人公については、読者それぞれ感じ方、捉え方が違うだろう。

高校生の青春まっしぐらの熱い少年ととらえる人もいれば、まったく感情移入や共感ができないと感じる人もいるのではないだろうか。

由紀子が妊娠していたことが噂されたとき、みんなの前で自分がその相手であると宣言した姿。

由紀子の死の原因は自分にあると責任を感じ、真相に迫ろうとする姿。

由紀子に対する思い。

妹・春美を大切にする思い。

そして終盤まで隠されている壮一の本当の気持ち。

何となくきれいに物語が収束した感があるが、果たしてこれでよいのだろうか、そう感じた読者もいるのではないだろうか。

 

 

7 事件の真相・物語の結末

物語の中盤あたりで由希子の交通事故死の真相は明らかになる。

謎だったのは御崎の死と緋絽子のガス事件騒動。

そこにあったのは、ある人物のある人物に対する強烈な思い。

様々な伏線が張り巡らされ、物語終盤にはそれが見事に回収されていく。

そこはさすがに東野圭吾といったところ。

そして最後の1行のセリフ。

これで物語はきれいに収束している(それに対しては賛否両論あると思うが)。

作者・東野圭吾はこの作品を書くのに大変苦労し、『あとがき』というものを初めて書いたとのことである。

 

 

まとめ

『同級生』7つのポイント

1 デビュー作『放課後』以来の学園ミステリー

2 宮前由希子の交通事故死の謎

3 御崎の死の謎

4 緋絽子のガス事件の謎

5 全ての事件の真相と回収される伏線

6 壮一に感情移入できるかどうか

7 『あとがき』に表れる東野圭吾の苦労

 

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