東野圭吾『十字屋敷のピエロ』

~『十字屋敷のピエロ』7つのポイント~

 

『十字屋敷のピエロ』は、東野圭吾9作目の作品。

とある資産家一族が所有する十字屋敷で起きた殺人事件。

その目撃者はピエロの人形。

そのピエロの視点で物語は進行していきます。

本格推理ですが、語り部を物言わぬピエロに据えるという斬新な試みが評判を呼んだ作品です。

 

ぼくはピエロの人形だ。

人形だから動けない。

しゃべることもできない。

殺人者は安心してぼくの前で凶行を繰り返す。

もし、そのぼくが読者のあなたにだけ、目撃したことを語れるならば・・・。

しかもドンデン返しがあって真犯人がいる。

前代未聞の仕掛けで推理読者に挑戦する気鋭の乱歩賞作家の新感覚ミステリー。

 

さあ、『十字屋敷のピエロ』について語りましょう。

 

 

1 あらすじ

手にした者には必ず不幸が訪れるというピエロの人形。

次の所有者は竹宮家。

竹宮家は十字屋敷と呼ばれる特殊な屋敷を所有している。

投身自殺をした竹宮産業創始者の長女で女社長・頼子の四十九日法要で十字屋敷に集まった竹宮家の面々。

その夜、武宮産業現社長で頼子の夫である宗彦とその秘書・三田理恵子が殺される。

2人の死の謎は?

様々に散りばめられる不自然な現象。

誰かが誰かをかばっているのか。

ピエロの目線が読者を深層に導き、そしてミスリードを誘う。

事件の犯人とは?

そしてその裏にある驚くべき真相とは?

 

 

2 登場人物

竹宮水穂

竹宮家の十字屋敷に一年半ぶりに戻ってきた。

竹宮宗彦

竹宮産業社長。前社長竹宮頼子の夫。

竹宮佳織

宗彦の一人娘。水穂の従妹。

竹宮静香

竹宮産業創始者・幸一郎の妻。頼子の実母。

竹宮頼子

幸一郎の長女。

竹宮琴絵

幸一郎の次女。水穂の母。

近藤和花子

幸一郎の三女。

近藤勝之

和花子の夫。竹宮産業取締役。

青江仁一

十字屋敷に下宿している大学院生。

永島正章

竹宮家に出入りする美容師。

松崎良則

頼子たちの従兄。竹宮産業取締役。

三田理恵子

宗彦の秘書。

梅村鈴枝

竹宮家の家政婦。

悟浄真之介

ピエロを追う人形師。

ピエロ

悟浄の父が作った人形。悲劇を呼ぶといわれる。

 

 

3 第一の事件

竹宮産業女社長・頼子が十字屋敷から飛び降り自殺をした。

そしてその四十九日の夜、頼子の夫・宗彦とその秘書・三田理恵子が殺害される。

やはりピエロは不幸を呼ぶのか。

外部犯の仕業なのか、理恵子が図った無理心中なのか、はたまた内部に犯人がいるのか。

水穂は、他の誰も知らない事件のカギを知っていた。

その事実と食い違う各人の証言。

やがて1人の人物が犯人として逮捕されるが、事件の半分しか犯行を認めない。

宗彦と理恵子の事件にはどのような真相が隠されているのか。

 

 

4 様々な登場人物

この作品には様々な登場人物が登場する。

最初は人数が多くて整理するのが大変だと思ってしまうが、読み進めていけばその不安は全く解消される。

1人1人の人物設定、書き分け、役割分担がしっかりしているためであろう。

頼子の娘で、父・宗彦も亡くした車椅子の少女・佳織。

その佳織に恋する下宿大学院生・青江。

しかし佳織は青江には全く見向きもしない。

佳織が気になるのは、静香お付の美容師・永島。

このあたりの人間関係や、竹宮家にまつわる様々な人物の利害関係などが事件のカギを握っているのだろうか。

強き女社長であった頼子が自殺した理由とは何か。

幸一郎が残した多くのパズルがどのように事件に関係しているのだろうか。

様々な描写がそれぞれの伏線となり、それが終盤見事に回収されていくところは見もの。

 

 

5 悟浄

主要登場人物の中で、竹宮家と直接関係の無い警察関係者以外の人物。

彼はピエロにまつわる様々な不幸を目の当たりにしてきているため、竹宮家に起こった事件についても冷静に客観的に観察、分析することができる。

水穂も彼女だけが知っている事件のカギを悟浄に相談する。

お互いが事件の真相に近づいていく中で起こるもう1つの事件。

被害者を発見したのは水穂と悟浄だった。

そして明らかになる謎の数々。

悟浄が感じた事件の真相の裏側とは?

 

 

6 不幸を呼ぶピエロの人形

頼子が買ったピエロの人形。

それは、悲劇のピエロといって、手に入れた人は必ず不幸になるというジンクスがあるものだった。

悟浄は、父が作ったというそのピエロの人形を回収するために竹宮家を訪れたのであった。

そしてこのピエロが事件の語り部としての役割を果たす。

水穂たちが知らないやりとりもピエロは見聞きしており、ピエロの視点から事件の裏側を見ることができる

それが事件の真相に近づくヒントになることもあれば、ミスリードを誘うこともあり、謎解きを一筋縄ではさせてくれない。

ピエロの視点はフェアであり、嘘をつかずに事件を語り、目撃している。

ピエロの証言をどのように読み解くか、それは読者各人にかかっている。

 

 

7 事件の真相の真相

水穂、青江、そして悟浄が謎の解明の中心人物。

それぞれが様々な状況を振り返り、不自然なところを追求し、謎の真相に近づいていく。

宗彦と理恵子の事件ではある人物が犯人として逮捕されるが、その人物は事件の半分しか犯行を認めていない。

この期に及んで罪を軽くするために嘘の供述をしたのか、それとも別の謎が隠されているのか。

事件は収束に向かったと思われていたが、さらに発生するもう1つの事件。

水穂たちは事件の核心に迫り、そして犯人や犯行方法、動機を明らかにしていく。

事件を複雑化していたものは何だったのか、その1つ1つが解明され、そして事件は解決する。

しかし、その裏側にあったのは思いもよらないある人物の思惑だった。

この作品のクライマックスシーンに驚嘆する読者も多いのではないだろうか。

 

 

まとめ

『十字屋敷のピエロ』7つのポイント

1 ピエロの視点という新しい試み

2 フェアに事件を語り巧みに読者をミスリードに導くピエロ

3 竹宮家の複雑な人間関係

4 見事に書き分けられたキャラクターたち

5 宗彦と理恵子の死の謎

6 悟浄の冷静な推理

7 事件の裏側にある驚愕の真相とは

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