東野圭吾『魔球』

~『魔球』7つのポイント~

 

『魔球』は、東野圭吾6作目の作品。

25歳のときに書き上げ、江戸川乱歩賞の最終候補まで残った作品で、事実上の東野圭吾のデビュー作。

これまではアーチェリー、剣道、ビリヤードと、あまりメジャーとは言えないスポーツを取り扱ってきましたが、この作品のスポーツは野球。

そして舞台設定は昭和39年。

物語は須田武志が甲子園のマウンドに立っているところから始まります。

 

九回裏二死満塁、春の選抜高校野球大会、開陽高校のエース須田武志は、最後に揺れて落ちる“魔球”を投げた!

すべてはこの一球に込められていた・・・。

捕手北岡明は大会後まもなく、愛犬と共に刺殺体で発見された。

野球部の部員たちは疑心暗鬼に駆られた。

高校生活最後の暗転とエイエンの純情を描いた青春推理。

 

さあ、『魔球』について語りましょう。

 

 

1 あらすじ

昭和39年3月30日。

須田武志は甲子園球場のマウンドに立っていた。

相手は強豪・亜細亜学園。

九回裏二死満塁で須田が投げたラストボールに相手打者は空振りするが、捕手北岡もボールを後逸してしまう。

須田が投げた球が、これまで北岡も見たことのないような変化をしたのだった。

それから間もなく、北岡が愛犬と共に刺殺体で発見される。

 

その5日前、3月23日。

東西電機株式会社内に爆弾が仕掛けられたという連絡があった。

しかし犯人にはどうやら爆弾を爆発させる意思は無い様子。

 

北岡の死の謎とは?

東西電機に仕掛けられた爆弾の目的は?

そして、第二の殺人事件が起こる!

 

 

2 登場人物

須田武志

開陽高校3年生。野球部のエース。

弱小だった開陽高校を甲子園に連れて行く。

プロ野球からも注目されている逸材。

須田勇樹

開陽高校2年生。須田武志の弟。成績優秀。

北岡明

開陽高校3年生。野球部捕手。

須田武志とバッテリーを組む。チームの主将を務める。

田島恭平

開陽高校3年。野球部控え投手。

森川

開陽高校物理教師。野球部顧問。

手塚麻衣子

開陽高校古文教師。

須田志摩子

須田武志、須田勇樹の母。

中条健一

東西電機株式会社社長。

芦原誠一

元東西電機野球部投手。

高間

県警本部捜査一課の刑事。森川、手塚麻衣子とは旧知。

 

 

3 第一の殺人

開陽高校が選抜大会で敗退してまもなく、正捕手の北岡明が愛犬と共に刺殺体で発見される。

捜査の結果、犯人は先に犬を刺し、その後北岡を視察したことが判明した。

何故犯人は先に犬を刺したのか。

そして、北岡のアルバムに残された「魔球を見た」のコメント。

北岡の死の真相とは?

「魔球」とは一体どういうことか?

 

 

4 東西電機株式会社爆弾騒ぎ

東西電機株式会社に爆弾が仕掛けられた。

しかし犯人は爆発させるつもりは無い様子。

一体誰が何のためにこのような騒動を起こしたのか。

そして、犯人から届いた脅迫状。

そこには、爆破計画を中止して欲しければ1,000万円を用意し、取引には中条社長1人で来るように記されていた。

犯人の要求どおりに中条社長が取引に向かったとき、中条社長が何者かにさらわれる。

1,000万円はそのままで中条社長だけが連れ去られてしまうという事態に警察も驚愕する。

さらに、中条社長は間もなく戻ってきた。

犯人の目的は一体何なのか?

 

 

5 須田武志

プロ野球のスカウトからも注目される天才高校生投手。

溢れる才能と並々なら努力で、弱小だった開陽高校を甲子園に導く。

いつも1人で誰も寄せ付けず、ぶっきらぼう。

やられたら相手の嫌がることで仕返し、勝つためには多少強引なことも平気で行う。

金に執着しプロ野球入りに強くこだわる。

影があり屈折した性格ではあるが、その裏には彼が育った環境と彼の優しさが潜んでいた。

非常に際立ったキャラクターであり、読者を惹きつける魅力を持った人物である。

 

 

6 第二の殺人

北岡の死体が発見されて捜査が難航している頃、そして東西電機株式会社で爆弾騒ぎと社長連れ去り事件が発生した頃、第二の殺人事件が起こる。

その被害者は意外な人物だった。

死体は腹部を刺されており、これが致命傷と思われたが、それ以上に死体には目立つ特徴があった。

そして死体のそばには「マキュウ」の文字が。

何故この人物が殺されなければならなかったのか。

何故この死体はこのような状態だったのか。

「マキュウ」というメッセージの謎は?

 

 

7 事件の真相

この事件の真相はとても切なく、悲しく、そして優しいものだった。

二つの殺人事件と東西電機の爆弾事件。

それぞれの事件にどのような関係があるのか、張りめぐらされた伏線がきれいに回収され、真相が明らかになっていく。

一見関係なさそうな2つの事件が実はつながりがあること、事件の奥にある人の心の強さと優しさの表現など、東野圭吾作品の基本形と言ってもよいのではないか。

読者がその登場人物にどのように感情移入するのかは様々ではあるが、この『魔球』に関して言えば、多くの読者が読後「切なさ」を感じるのではないだろうか。

 

 

まとめ

『魔球』7つのポイント

1 須田武志のキャラクター

2 東西電機株式会社の爆弾騒ぎ

3 第一の殺人

4 東西電機株式会社の社長連れ去り事件

5 第二の殺人

6 殺人事件と爆弾騒ぎのつながりは?

7 事件の背景、真相は?

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