東野圭吾『天使の耳』

~『天使の耳』7つのポイント~

 

『天使の耳』は、東野圭吾20作目の作品。

『交通警察の夜』という作品の改題です。

日常起こりうる交通事故を題材とした作品で全6作の短編からなっています。

 

深夜の交差点で衝突事故が発生。

信号機を無視したのはどちらの車か!?

死んだドライバーの妹が同乗していたが、少女は目が不自由だった。

しかし、彼女は交通警察官も経験したことがないような驚くべき方法で兄の正当性を証明した。

日常起こりうる交通事故がもたらす人々の運命の急転を活写した連作ミステリー。

(『交通警察の夜』改題)

 

さあ、『天使の耳』について語りましょう。

 

 

1 天使の耳

深夜の交差点で車同士の衝突事故が発生する。

軽自動車と外車の衝突事故で、軽自動車のドライバーだけが死亡してしまう。

外車のドライバーと同乗者は軽自動車の信号無視を主張するが、軽自動車に同乗していた死亡した運転手の盲目の妹は、信号無視をしたのは外車の方で兄は被害者であると主張する。

盲目の彼女の証言が正しいのか疑問の声が上がるが、少女は驚くべき方法で証言の正当性を証明する。

(登場人物)

陣内瞬介

交通課の警察官。

友野和雄

外車の運転手。

畑山瑠美子

友野和雄の同乗者。

御厨健三

軽自動車の運転手。死亡する。

御厨奈穂

御厨健三の妹。目が見えない。

 

 

2 分離帯

トラックがスリップし中央分離帯を超え、対向車と衝突する事故が起こり、トラックの運転手が死亡する。

死亡した運転手の妻は、事故の担当警察官の片想いしていた同級生だった。

彼女のために捜査を続けているうちに重要な証言が得られる。

それは左側に路上駐車していた黒い外車が方向指示器を出さずに突然飛び出してきて、トラックはそれを避けようとして事故を起こしたのではないかというものだった。

警察官はその外車の持ち主にたどり着くが・・・。

(登場人物)

世良一之

交通課の警察官。

向井恒夫

トラック運転手。事故で死亡。

望月

トラックの後ろを走っていた車の運転手。

菅沼彩子

向井の妻。世良の高校時代の同級生。

石井

黒い外車の運転手。

 

 

3 危険な若葉

男は、前方を走る若葉マークを付けた女性の運転する車を必要以上に煽り事故を起こさせてしまう。

男は警察に通報せずにその場を逃走。

事故にあった女性は、大した怪我はしなかったが記憶障害を引き起こしてしまう。

そして、別に起こった殺人事件がこの事故につながっていく。

(登場人物)

三上

交通課の警察官。

斎藤

刑事課の警察官。

福原映子

事故を起こした初心者運転手。

福原真知子

映子の妹。

森本恒夫

煽った運転手。大学3年生。

 

 

4 通りゃんせ

男はある雪の日、駐車禁止の場所に車を路上駐車する。

翌朝、車には当て逃げされた跡が。

犯人は見つからないと思っていた矢先、何と当て逃げした犯人から連絡が来る。

車の修理代を全額払うという犯人。

そしてさらにスキー場に近い別荘に招待するのだが・・・。

(登場人物)

佐原雄二

当て逃げされた車の持ち主。

尚美

佐原の恋人。

前村敏樹

当て逃げをした犯人。

 

 

5 捨てないで

高速道路を走行中の車の窓から空き缶が捨てられ、後続車の助手席に座っていた女性の目に直撃する。

空き缶を捨てた側は何も知らないが、空き缶がぶつかった女性は失明してしまう。

女性の婚約者は、ほとんど手掛かりがないまま空き缶を捨てた犯人を探そうとする。

この事件とは別に、とある殺人計画が進行している。

空き缶事件と殺害計画が思わぬ形でつながっていく。

(登場人物)

田村真智子

空き缶が当たり失明する。

深沢伸一

真智子の婚約者。

斎藤和久

空き缶を捨てた車の運転手。

中井春美

斎藤の愛人。

斎藤昌枝

斎藤の妻。ファッションビルを経営。

 

 

6 鏡の中で

有名実業団の陸上部コーチが運転する車が、交差点で原付バイクと接触事故を起こす。

原付バイクの運転手はノーヘルだったこともあり、頭部の打ちどころが悪く亡くなってしまう。

全面的に自分の非を認めるコーチだが、現場のスリップ痕や不自然な証言から、警察はコーチの供述に疑問を持ち始める。

(登場人物)

織田雅之

交通課の警察官。

中野文貴

実業団陸上部コーチ。

高倉

実業団陸上部監督。

山本和美

実業団のマラソン選手。

堀江順子

実業団のマラソン選手。

田代由利子

実業団のマラソン選手。

萩原昭一

原付バイクの運転手。死亡する。

 

 

7 総評

交通事故に焦点を当てたこの作品。

起こった事故は、それぞれ信号無視、突然の侵入、煽り、路上駐車、ポイ捨て、ハンドルの操作ミスが原因となっている。

各エピソードともにしっかりとした構成で、短編でありながら十分に楽しむことができる。

そして、どのエピソードにも結末に一捻りが効いている。

被害者、加害者それぞれにそれぞれの事情があり、各エピソードとも恐ろしくびっくりするような結末が待ち受けている。

テンポよく、一筋縄では終わらず、楽しく読みやすい作品である。

 

 

まとめ

『天使の耳』7つのポイント

1 交通事故をテーマにした短編集

2 『天使の耳』の少女の驚くべき証明

3 『分離帯』の妻がとった恐るべき行動

4 『危険な若葉』の女性の記憶障害

5 『通りゃんせ』加害者の秘密

6 『捨てないで』の殺害計画とのつながり

7 『鏡の中で』のコーチの供述の不自然さとは