~痛風の原因を知り、予防の対策をとりましょう~
足がパンパンに腫れ上がり、風が吹くだけでも痛いと言われる痛風。
痛風の患者は全国で50万人、痛風予備軍と呼ばれる高尿酸血症の患者数はなんと500万人とも言われています。
高尿酸血症の患者は特に30代男性を中心に20代から40代の男性に多いのですが、最近は女性の患者もこの15年で10倍まで増えているようです。
痛風が発症すると主に足先に激しい痛みや腫れが生じ、1週間ほどは歩くことがままならないほど。
普段の生活にも大きな支障をきたす痛風の原因を知り、予防するための対策をとりましょう。
1 痛風の原因
痛風とは、体内で増えて結晶化した尿酸が骨にこびりつき、それが剥がれたときに白血球がそれを異物として排除しようとしたときに引き起こされる炎症反応です。
痛風の原因は体内の尿酸が多いこと。
尿酸値の正常値は2.1~7.0、尿酸値が7.0を超えた状態を高尿酸血症と言い、痛風を引き起こすケースが激増します。
尿酸の原料はプリン体。
体内のプリン体が増えればそれだけ生成される尿酸も増加します。
尿酸とは、細胞内のプリン体が原因で発生する、いわゆる老廃物です。
老廃物ということはこれ以上分解されることはなく、放っておくと体内にたまっていく一方です。
2 尿酸・プリン体が増えるメカニズム
尿酸の原料であるプリン体が増える理由は主に3つ。
1つ目は新陳代謝によるもの。
実は尿酸には抗酸化作用があり、人体にとって必ずしも不要なものではないのです。人類の進化の過程で、人間の体は自然と尿酸が生成されるようになったのです。
古い細胞が死に、新しい細胞が生まれる新陳代謝。
プリン体は細胞の1つ1つに含まれているので、新しい細胞が生まれればその分プリン体も発生するのです。
2つ目の理由は、壊れた細胞を修復するときに増えるもの。
激しい運動をすると細胞が破壊され、その細胞の修復をしようとして新しい細胞が再生されます。
当然、その新しい細胞1つ1つにもプリン体が含まれています。
激しい運動をすると細胞が破壊され、その分多くの細胞が再生されるので、一時的に尿酸値が上昇します。
3つ目の原因はプリン体を多く含んだ食べ物を摂取したときによるもの。
プリン体を多く含むものを摂取すると、自然と体内のプリン体も増加します。
3 痛風の予防~体内の尿酸を排出する
痛風の予防の一番の方法は、痛風の原因となる尿酸を体内から排出すること。
人間にとって必要な成分である尿酸ですが、必要量以上を体内に溜め込んではいけません。
老廃物である尿酸を体内から排出するためには、水分補給・水分摂取が大切です。
たくさんの水分を摂り、尿として尿酸を体外に排出することが効果的。
水をたくさん飲めば尿量も増えます。
通常の生活では、1日に飲み水の量は1.0~1.5リットル程度ですが、痛風予防のためには1日2リットルの水を飲むようにしましょう。
そして、特に汗をかいたときやお酒を飲んだ後は、できる限りたくさんの水を飲んで尿量を増やし尿酸の排出を行うことが大切です。
4 痛風の予防~尿酸の生成を抑える
新陳代謝により新しく生まれた細胞に含まれるプリン体が尿酸を生成します。
尿酸は人間にとって必要な物質なので、この新陳代謝を抑えることはできません。
痛風を予防するためには、必要以上の余計な尿酸を体内で生成させないこと。
激しい運動をすると破壊された細胞の再生活動により新たなプリン体が生まれ尿酸を生成させてしまうので、菌に苦痛を伴うような激しい運動はできるだけ避けましょう。
また、食生活にも気を付けるべきです。
プリン体を多く含む食べ物を摂りすぎると体内のプリン体量が増え、多くの尿酸が生成されます。
アルコールにも尿酸を作り出し、尿酸の排出を邪魔する働きがあるので、お酒の飲みすぎにも要注意。
さらに、食べ過ぎも良くありません。
食べ過ぎは肥満を引き起こしますが、肥満により分泌されるインスリンには尿酸の排出を抑制する働きがあるのです。
米飯やパンなどは、プリン体は少ないのですが肥満につながる糖質が高いため、食べ過ぎると肥満の原因になります。
食事は腹八分目を心掛けましょう。
5 痛風の予防~プリン体を多く含む食材を避ける
痛風の原因となるプリン体が多い食べ物。
最も気を付けなければならないのは、アンコウの肝やレバーに代表される内臓系の食べ物。
続いて、干物も気を付けるべき食材です。
アンコウの着物酒蒸しには100gあたり約400mgのプリン体が含まれています。
鶏レバーには約310mg、干しシイタケには約380mg、鰹節には約490mg、煮干しにいたっては約745mgものプリン体が100gあたりに含まれています。
魚介類も実は多くのプリン体を含んでいます。
マイワシは約300mg、イサキの白子は約300mg、大正エビは約270mgのプリン体が含まれています。
多くの人が誤解しているのが、カズノコやイクラなどの魚卵を控えるべきというもの。
実はカズノコは約22mg、イクラは約4mgと含まれるプリン体は少ないのです。
食品100gあたりのプリン体含有量
極めて多い(300mg以上)
アンコウの肝の酒蒸し、鶏レバー、マイワシの干物、イサキの白子、鰹節、煮干し、干しシイタケ
多い(200mg~300mg)
豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジの干物、サンマの干物
少ない(50mg~100mg)
ウナギ、ワカサギ、豚ロース、豚バラ、牛肩ロース、牛肩バラ、牛タン、マトン、ボンレスハム、プレスハム、ベーコン、つみれ、ホウレンソウ、カリフラワー
極めて少ない(~50mg)
コンビーフ、魚肉ソーセージ、かまぼこ、焼きちくわ、さつま揚げ、カズノコ、すじこ、ウインナーソーセージ、豆腐、牛乳、チーズ、バター、鶏卵、とうもろこし、じゃがいも、さつまいも、米飯、パン、うどん、そば、果物、キャベツ、トマト、ニンジン、大根、白菜、ひじき、わかめ、昆布
飲酒時のおつまみにプリン体の多い食材を使うのは避けましょう。
ただでさえアルコールは脱水症状を起こすので痛風を引き起こしやすいのです。
そこにプリン体を多く含む食べ物が加わったら、痛風は章の危険度がさらに増すことになります。
できるだけアルコールの摂取は控え、プリン体含有量の少ない食材を中心とした触接カツを心掛けるようにしましょう。
6 痛風の予防~尿酸の濃度を下げる
小学校の理科の実験で食塩水を作った経験は誰にでもあると思います。
同じ量の水に少しの食塩を入れれば食塩はちゃんと溶けますが、たくさんの食塩を入れれば食塩は溶けずにビーカーの底に溜まりますよね。
また、同じ量の食塩を入れても、水が多ければ食塩はきちんと溶けますが、水の量が少ないと食塩は溶けずに底に溜まります。
痛風もこの現象と同じイメージです。
食塩を尿酸の結晶、水の量を体内の水分量、ビーカーの底を足の指先やくるぶしと置き換えてください。
尿酸値の高い状態というのは、濃度の高い食塩水のようなもの。
溶けきれない食塩がビーカーの底に溜まるように、体内で溶けきれなかった尿酸の結晶は足先など体の末端に溜まるのです。
そして溜まった結晶が激しい痛みを伴う炎症反応を引き起こすのです。
食塩水の濃度を薄くするために水の量を増やすように、痛風の予防に一番手軽で効果的なことは体内の水分量を増やすこと、つまり、水を飲むことです。
水を飲んで体内の尿酸濃度を薄くしましょう。
プリン体の多い食べ物や激しい運動により尿酸の量が急増します。
暑さ、運動、サウナなどで大量の汗をかくと体内の水分量が減ります。
アルコールの摂取は脱水症状を招きます。
体内の尿酸が増え水分量が減ると、尿酸は結晶化しやすくなり、痛風の症状を引き起こします。
しかも尿酸には水に溶けにくいという性質があります。
だからこそたくさんの水を飲んで尿酸の濃度を薄くすることが大切なのです。
水をたくさん飲むことで、尿として尿酸を体外に排出することもできます。
7 痛風の予防~有酸素運動
筋肉痛を伴うような激しい運動は、細胞を破壊し、細胞の再生活動によりプリン体を作り出すので、痛風を引き起こす危険性があります。
普段運動不足の人が突然過度な運動や激しく負担のかかるような運動をすると、体内で多くの尿酸が生成され、痛風を引き起こしやすくなります。
痛風予防に効果的な運動は、「有酸素運動」です。
ウォーキングやジョギング、軽い水泳など、比較的負荷の軽いゆったりとした運動を行いましょう。
呼吸をしながら行うストレッチやヨガなども効果的です。
有酸素運動は酸素によって体脂肪を燃焼することができるので肥満解消にも有効です。
ゆっくりと20分以上体を動かすことで脂肪も燃焼されやすくなります。
日々の生活の中でも、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う、一駅分歩くなど、有酸素運動を取り入れることができます。
有酸素運動をするときは、水分補給を忘れないようにしてください。
運動前から運動後まで、必ず意識的に水分補給をしながら有酸素運動を行ってください。