東野圭吾『美しき凶器』

~『美しき凶器』7つのポイント~

 

『美しき凶器』は、東野圭吾22作目の作品。

東野圭吾得意のスポーツを題材としたお話です。

探偵役が推理して犯人を暴く話ではなく、かつての名スポーツ選手たちに恐怖が襲い掛かるハラハラドキドキのサスペンスものです。

 

安生拓馬、丹羽潤也、日浦有介、佐倉翔子。

かつて世界的に活躍したスポーツ選手だった彼らには、葬り去らなければならない過去があった。

四人は唯一彼らの過去を知る仙堂之則を殺害し、いっさいのデータを消去。

すべてはうまく運んだかに思われたが・・・。

毒グモ(タランチュラ)のように忍び寄る影が次々と彼らを襲った!

迫りくる恐怖、衝撃の真相!

俊英が贈る傑作サスペンス!

 

さあ、『美しき凶器』について語りましょう。

 

 

1 あらすじ

安生拓馬、丹羽純也、日浦有介、佐倉翔子は、かつてのスポーツの名選手。

オリンピックにも出場し、引退した現在もそれぞれが幸せで順風満帆な生活を送っていた。

しかし、彼らの平穏な日々を驚かす出来事が起きてしまう。

自分たちの将来を守るため、4人は仙堂之則が持つ4人の過去のデータを抹消すべく、仙堂の屋敷に忍び込む。

屋敷で仙堂と対峙する4人。

仙堂を殺害してしまった4人は、屋敷に火を放つことで強盗殺人に見せかけると同時に、発見できなかった4人の過去のデータの消去を試み、屋敷を脱出する。

しかし、その一部始終を、仙堂が作り上げた「タランチュラ」が見ていた。

タランチュラは、仙堂の復讐を誓い、4人を追い求める。

タランチュラはまず、安生の居場所を探し当てる・・・。

 

 

2 登場人物

日浦有介

元・陸上ハードル選手。現在はスポーツライター。

佐倉翔子

元・体操選手。現在はスポーツキャスター。

安生拓馬

元・重量挙げ選手。現在はアスレチッククラブ取締役。

丹羽潤也

元・陸上短距離選手。現在は陸上部コーチ。

タランチュラ

カナダ人女性。仙堂から肉体改造を施される。

仙堂之則

医師。スポーツ選手の肉体改造に携わる。

柴藤

山梨県警刑事。

山科

山梨県警刑事。

 

 

3 四人の視点

物語の視点の1つが、安生拓馬、丹羽潤也、日浦有介、佐倉翔子の4人の視点である。

仙堂を殺害し、屋敷を燃やしたことで、過去の秘密を隠せると思った4人だが、屋敷近くで警察官の死体が見つかることで、タランチュラの存在を知った4人。

間違いなくタランチュラが自分たちに復讐に来ることを覚悟する。

タランチュラが警察に捕まると自分たちの秘密もばれてしまう恐れがあるため、彼らはタランチュラが警察に捕まらないことを祈らなければならない。

それぞれの視点で描かれることにより、忍び寄るタランチュラの恐怖がより強調される。

まず、タランチュラは安生拓馬の居場所を突き止める。

安生拓馬とタランチュラの対決が始まる!

 

 

4 タランチュラの視点

仙堂之則により肉体改造を施されたカナダ人女性・タランチュラ。

身長は190センチあり、驚異的な身体能力の持ち主。

彼女は、仙堂の敵を討つため4人に復讐をすることを誓う。

言葉も土地勘もない彼女が、名前と住所だけを頼りに4人に近づいていく。

主人の復讐のため、目的に向かいまっすぐに突き進む彼女の様子は、純粋そのもの。

復讐のためなら何をするのも躊躇しない。

途中で複数の人間を殺傷するが、そこに罪悪感はない。

タランチュラが少しずつ4人の居場所に近づいていく様子は緊迫感があり、目的の人物と対峙する瞬間はドキドキする

彼女は次々と復讐を成し遂げていくが、その裏には実は驚くべき事実があった。

 

 

5 警察の視点

仙堂を殺され復讐を誓ったタランチュラは、まず現場に現れた警察官を殺害し拳銃を奪う。

その警察官を現場に赴かせた柴藤は罪の意識に苛まれ、必ず犯人を逮捕することを誓う。

しかし、犯人の動きはとても常識外。

また、犯人の目的もターゲットも分からないまま。

読者は4人の視点、タランチュラの視点を読んでいるので、警察の捜査がなかなか核心に迫らないことにやきもきしてしまう。

それでも少しずつ真相に近づいていく柴藤たち。

果たして、どのように事件を解決していくのだろううか。

 

 

6 驚愕の真相とラスト

タランチュラに襲われる4人。

復讐のためなら躊躇なく人を殺傷するタランチュラの恐怖が見事に描写されている。

1人また1人とタランチュラの毒牙にかかっていく。

しかしその裏には実は驚くべき真実があったのだった。

多くの「悪」が出てくるこの作品だが、この真相を知ったとき、一番の「悪」はこの人物ではないか、と思わざるを得ない。

そして、タランチュラが最後の最後で見せるあの姿。

このまま物語が終わるのではどうもすっきりしない、そう思っていたときのラストシーン。

心情描写の無かったタランチュラの唯一の心情描写に、心打たれる読者も多いのではないだろうか。

 

 

7 総評

4人の元アスリートたち、タランチュラ、そして警察。

基本的にこの3つの視点で物語が進んでいくため、主人公は誰なのか、どのキャラクターに感情移入すればよいのか、正直分からない。

しかし、物語はテンポよく進み、タランチュラがどんどん迫り、ターゲットを追い込んでいくところなどはハラハラドキドキもの。

仙堂の狂気じみた研究に恐ろしさと憤りと気持ち悪さを覚え、4人と一緒に迫りくるタランチュラに恐怖し、なかなか捜査の進まない警察にもどかしさを感じ・・・。

先が気になり、テンポよくサクサク読み進めてしまう。

これまでの東野圭吾の作品とはまた違った魅力のある面白い作品です。

 

 

まとめ

『美しき凶器』7つのポイント

1 東野圭吾得意のスポーツを題材にした作品

2 過去に栄光があり今も順風満帆な元アスリートたち

3 仙堂が施す恐るべき肉体改造

4 迫りくるタランチュラの恐怖

5 なかなか進まない警察の捜査

6 事件の裏側にあった驚きの真相

7 最後にタランチュラが見せる姿

 

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