東野圭吾『ウインクで乾杯』

~『ウインクで乾杯』7つのポイント~

 

『ウインクで乾杯』は、東野圭吾7作目の作品。

元々は『香子の夢 ― コンパニオン殺人事件』というタイトルでしたが、後に『ウインクで乾杯』に改題されました。

これまでの東野圭吾の作風とは打って変わった軽いタッチの作品です。

 

パーティ・コンパニオンの小田香子は恐怖のあまり声も出なかった。

仕事先のホテルの客室で、同僚牧村絵里が、毒入りビールを飲んで死んでいた!

現場は完全な密室、警察は自殺だというが・・・。

やがて絵里の親友由加利が自室で扼殺され、香子にまで見えざる魔の手が迫ってきた・・・。

誰が、なぜ、何のために・・・!?

ミステリー界の若き旗手が放つ長編本格推理の傑作!

 

さあ、『ウインクで乾杯』について語りましょう。

 

 

1 あらすじ

パーティ・コンパニオンの小田香子には大きな夢がある。

玉の輿に乗ってセレブ生活を送ることだ。

老舗宝石店「華屋」のパーティーで、お目当ての不動産会社専務・高見俊介に近づくことができた香子は心が浮き立つ。

しかし、そのパーティーの後、香子の同僚・絵里が毒入りビールを飲んで死んでいるのが見つかる。

死体発見現場であるホテルの部屋が完全な密室であったことから、警察は自殺と判断するが、香子は絵里が自殺するとは到底思えない。

香子の隣室に住む刑事・芝田も同様にこの自殺には不自然さを感じ、独自の捜査を進めていた。

やがて、絵里の親友である由加利も絵里の自殺に疑いを抱き、そして重大な情報を掴む。

その情報について香子に知らせようとしたところ、由加利も何者かによって扼殺されてしまう。

そして、香子にも見えざる魔の手が迫る・・・。

 

 

2 登場人物

小田香子

パーティ・コンパニオン。

「バンビ・バンケット」に所属。24歳。

牧村絵里

大手事務所から「バンビ・バンケット」に移籍してきた。

「華屋」のパーティーの後、ホテルの一室で死体となって発見される。

米沢

「バンビ・バンケット」の営業社員。

江崎洋子

「バンビ・バンケット」のチーフコンパニオン。

浅岡綾子

「バンビ・バンケット」のコンパニオン。香子の同僚。

真野由加利

フリーのパーティ・コンパニオン。絵里の親友。

丸本久雄

「バンビ・バンケット」の社長。女に手が早い。

高見雄太郎

高見不動産の元社長。伊瀬耕一に殺害された。

高見礼子

高見雄太郎の娘。

高見康司

高見雄太郎の実弟。雄太郎の死後、高見不動産の社長に就任。

高見俊介

高見不動産の専務。高見雄太郎の甥。香子のターゲット

西原正夫

老舗宝石店「華屋」の社長。

西原昭一

西原正夫の長男。「華屋」の副社長。

西原健三

西原正夫の三男。優秀な兄と違い馬鹿息子と呼ばれている。

佐竹

西原健三の黒子。

伊瀬耕一

牧村絵里の恋人で画家の卵。高見雄太郎を殺害し自身も自殺。

牧村規之

牧村絵里の兄。

芝田

警視庁捜査一課の刑事。30歳前後。

背が高くて色黒。香子の隣に住む。

直井

警視庁捜査一課の刑事。芝田より年上で妻子持ち。

坂口

警視庁捜査一課係長。あだ名は「豆狸」。

松谷

警視庁捜査一課の警部。芝田や直井の上司。

加藤

築地警察署の刑事。

 

 

3 第一の殺人

「華屋」のパーティーが開催されたその日の夜、会場ホテルの一室で絵里がどく入りビールを飲んで死んでいるのが発見される。

死体発見現場が先程まで香子たちが控え室として使用していた部屋。

警察は現場が密室であったこと、丸本との関係が悪化していたことから、絵里は自殺であると判断する。

しかし酒が得意でない絵里がビールに毒物を入れて飲んだこと、絵里は丸本とのもつれ程度で自ら死を選ぶような人間ではないことから、香子は絵里の自殺に疑問を感じる。

絵里の死の真相は?

密室の謎は?

芝田も独自の捜査でこの事件に立ち向かう。

 

 

4 第二の殺人

絵里の親友である由加利も絵里の死は自殺ではないと思っていた。

由加利も独自に事件を調べており、重大な情報を掴んだのだが、それを香子に伝える前に何者かに扼殺されてしまう。

そして、由加利の部屋は荒らされていた。

犯人は探している、由加利が持つ重大な情報とは何か?

 

5 トリック

第一の殺人では、絵里がどのようにして毒を飲んだのか、犯人はどのように密室を作ったのか、この2つが解決のキーポイントとなる。

芝田は独自に捜査を進め、絵里の殺害方法、密室のトリックを解明する。

トリックの仕掛けについて箇条書きで説明してくれているが、その内容については賛否両論分かれるところであろう。

第二の殺人の謎は、由加利が入手した重大な情報とは何か、その情報はどこにあるのか、ということ。

ビートルズの名曲が謎のカギを握っているようだが、これについても意見は二分しそう。

背表紙に「長編本格推理の傑作!」と謳っているが、トリックについてはあまり期待しないほうがいいかもしれない。

 

 

6 香子の恋の行方

香子の夢は玉の輿に乗って優雅な生活を送ること。

パーティ・コンパニオンという職に就いたのも、多くの資産家と出会うため。

今の香子のターゲットは、高見不動産専務・高見俊介。

しかし、今回の事件において、高見の行動にも不審な点が見られる。

高見も事件の真相に近づきたくて香子に接近して来ているのではないか。

何故高見は事件の真相や警察の捜査状況を知りたいのか。

そして、香子の隣に住む警視庁捜査一課刑事・芝田。

香子と芝田は協力し合いながら謎の解明に挑む。

 

 

7 作品の印象

これまでの東野圭吾作品とは打って変わった雰囲気の作品。

作品全体が軽いタッチで進み、サクサク読み進めていくことができる。

主に香子の視点でストーリーは進んでいくが、香子が感じたことがそのまま表現されているところが面白い。

香子と柴田のやり取りもテンポ良く楽しむことができる。

自動車電話、プリプリ、カセットテープなど、色々時代を感じられ、そこを楽しむ読者もいるのではないか。

絵里殺害のトリックや、由加利が掴んだ重大な情報については、賛否両論あると思うが、事件の真相については流石の一言。

残りページが少なくなってきているのに、なかなか真相にたどり着かない。

最後ギリギリのところですべてが明らかになり、その意外な結末に驚く読者もいることだろう。

 

 

まとめ

『ウインクで乾杯』7つのポイント

1 これまでにない軽いタッチ

2 香子と芝田のテンポ良いやりとり

3 第一の殺人のトリックとは?

4 第二の殺人のキーとなる重大な情報とは?

5 高見俊介の狙いは?

6 香子の恋の行方は?

7 事件の真相、意外な結末とは?

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